古物商の名義貸しは絶対にダメ|罰則は無許可営業と同じ重さ、5年間は取り直せません
「知り合いに『許可を貸してほしい』と言われました。名前だけなので大丈夫でしょうか」。ときどきいただくご相談です。
答えははっきりしています。大丈夫ではありません。条文に禁止規定があり、違反すると3年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金です。しかも、貸したほうも許可を失います。
この記事では、何が名義貸しにあたるのか、破ったらどうなるのかを条文で確認します。
先に結論
- 自分の名義で他人に古物営業をさせることは禁止されています(法9条)
- 罰則は3年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金(法31条3号)。無許可営業と同じ重さです
- あわせて許可の取消しまたは6か月以内の営業停止の対象になります(法24条1項)
- 取り消されると、5年間は許可を取り直せません(法4条6号)

条文はとても短い
(名義貸しの禁止)第九条 古物商又は古物市場主は、自己の名義をもつて、他人にその古物営業を営ませてはならない。
一文だけです。例外も、ただし書もありません。
ポイントは「営ませてはならない」という書き方です。名義を貸すこと自体ではなく、その名義で他人に営業をさせることが禁じられています。実際に誰が仕入れ、誰が売り、誰が利益を得ているか、が問われます。
こういう形が名義貸しにあたり得ます
実務でよく相談される形
- 「名前だけ貸して、営業は全部こちらでやる」…典型です
- 許可を持つ人が名ばかりの代表で、実際は別の人が仕入れも販売も判断している
- 報酬をもらって許可証のコピーを渡し、相手が自分の取引に使っている
- 家族の許可で、実質は本人がまったく関与せず別の家族が営業している
- 「うちの許可で出品していいよ」とアカウントを貸す
「もらう報酬が少ないから」「知り合いだから」「短期間だけだから」は、条文のどこにも書かれていません。
逆に、従業員を雇って営業させるのは名義貸しではありません。雇用関係のもとで、許可を受けた古物商本人の営業として行うものだからです。営業所には管理者を置きます(古物商の営業所には管理者が必要)。
破ったらどうなるか
刑事罰
第三十一条 次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金に処する。
一 第三条の規定に違反して許可を受けないで第二条第二項第一号又は第二号に掲げる営業を営んだ者
三 第九条の規定に違反した者
1号が無許可営業、3号が名義貸しです。同じ条文・同じ重さで並んでいることに注目してください。法律は名義貸しを、無許可営業と同等に見ています。
なお、令和7年6月1日から刑の名称が「懲役」から「拘禁刑」に変わっています。古い解説記事では懲役と書かれていることがあります。
行政処分
(営業の停止等)第二十四条 古物商若しくは古物市場主若しくはこれらの代理人等がその古物営業に関しこの法律……の規定に違反した場合において盗品等の売買等の防止若しくは盗品等の速やかな発見が著しく阻害されるおそれがあると認めるときは、……その古物営業の許可を取り消し、又は六月を超えない範囲内で期間を定めて、その古物営業の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。
そして、5年間は取り直せない
(許可の基準)第四条 公安委員会は、前条の規定による許可を受けようとする者が次の各号のいずれかに該当する場合においては、許可をしてはならない。
六 第二十四条第一項の規定によりその古物営業の許可を取り消され、当該取消しの日から起算して五年を経過しない者(許可を取り消された者が法人である場合においては、当該取消しに係る聴聞の期日及び場所が公示された日前六十日以内に当該法人の役員であつた者で当該取消しの日から起算して五年を経過しないものを含む。)
ここがいちばん重いところです。取り消されると5年間、古物商として再出発できません。法人で取り消された場合は、公示日前60日以内の役員も同じく5年間です。
「取消しの前に返納すればいい」も通じません
法4条7号は、取消しの聴聞が公示された日から取消しの日までの間に許可証を返納した者についても、返納の日から5年間は許可をしない、と定めています。処分が見えてから畳んでも、期間は変わりません。
欠格事由の全体像は古物商許可が取れない人とは?にまとめています。
借りる側にも危険があります
名義を借りて営業した人は、無許可営業として法31条1号にあたり得ます。こちらも3年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金です。貸す側・借りる側の双方が処罰の対象になり得る、という構図です。
また、無許可のまま買い取った品が盗品だった場合、責任の追及はいっそう厳しくなります。関連して買った物が盗品だったら?もご覧ください。
頼まれて困ったときは
断りにくい相手から頼まれることもあると思います。そういうときは、「その人が自分で許可を取ればいい」という答えがあります。古物商許可は要件を満たせば取れる許可で、手数料は19,000円です。取れない事情がある方だとすれば、なおのこと名義を貸してはいけません。
ご自身の許可を守るために、判断に迷われたときはご相談ください。当事務所では、周南市・下松市・光市・防府市・柳井市・岩国市を中心に古物商許可の申請をお手伝いしています。
参考(一次情報)
※本記事は一般的な解説です。具体的な事案が名義貸しにあたるかどうかは事情により異なります。すでにそのような状態にある場合は、早めに弁護士にご相談ください。
古物商許可・金属くずのご相談は、地域の行政書士へ
周南市・下松市・光市を中心に、防府市・柳井市・岩国市など山口県東部に対応。
「許可が要るか分からない」という段階からご相談いただけます。
LINEで相談する電話 0833-48-5781フォームで相談
周南行政書士事務所 代表 広戸克義
参考(一次情報)
- 古物営業法(e-Gov法令検索) 第5条第4項/第6条/第7条/第8条
- 地方公共団体の手数料の標準に関する政令(e-Gov法令検索) 別表 二十八(古物営業の許可に関する事務)
- 実際の手数料額は各都道府県の手数料条例によります。申請前に管轄の警察署でご確認ください
※本記事は一般的な解説です。個別の事情により結論が変わることがあります。判断に迷う場合は営業所を管轄する警察署または行政書士にご確認ください。
※2026年8月27日更新






