古物商の開業に必要なもの一覧|法律で必要な5つと、あると助かるもの
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古物商の許可証が届いたら、その日から義務が始まります。「まず何をそろえればいいのか」を、法律で必要なものと実務であると助かるものにはっきり分けて一覧にしました。ネットで見かける「開業に必要なもの」の記事は、この2つを混ぜて書いてあることが多く、かえって迷いのもとになります。ここでは条文を示しながら整理します。

1. 早見表
| そろえるもの | 区分 | 根拠 |
|---|---|---|
| 標識(古物商プレート) | 法律で必要 | 古物営業法第12条第1項 |
| 古物台帳(帳簿) | 法律で必要 | 同法第16条・第18条 |
| 本人確認をする手段 | 法律で必要 | 同法第15条第1項 |
| ウェブサイトへの氏名等の表示 | 法律で必要(ネット取引をする場合) | 同法第12条第2項・第3項 |
| 管理者の選任 | 法律で必要(申請時に選任済み) | 同法第13条第1項 |
| 買取伝票・複写式伝票 | 任意(実務であると助かる) | — |
| 商品の保管ケース・什器 | 任意 | — |
| 梱包資材 | 任意 | — |
| ゴム印・名刺 | 任意 | — |
| ネットショップ・自社サイト | 任意(ただし作るなら届出が要る) | 同法第5条第1項第6号 |
| 会計ソフト | 任意 | — |
「開業届」と混同しないでください
税務署に出す開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)は所得税法上の手続きで、古物商許可とは別の制度です。古物営業法は開業届の提出を求めていません。逆に、開業届を出しただけでは古物営業はできません。
2. 法律で必要なもの
① 標識(古物商プレート)
古物営業法 第12条第1項
古物商又は古物市場主は、それぞれ営業所若しくは仮設店舗又は古物市場ごとに、公衆の見やすい場所に、国家公安委員会規則で定める様式の標識を掲示しなければならない。
縦8cm×横16cm、紺色地に白文字。材質は金属・プラスチック等の耐久性のあるものと決まっています。営業所ごとに1枚必要で、催事などの仮設店舗にも要ります。掲示を怠ると10万円以下の罰金です(同法第35条第2号)。
規格・書き方・買える場所は古物商プレート(標識)のサイズ・記載事項と入手方法で詳しく解説しています。
注文の前に、サイズが「縦80mm×横160mm」であること、紺色地に白文字であることをご確認ください。屋号やロゴを入れることはできません(施行規則第13条)。
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② 古物台帳(帳簿)
取引の都度、記録を残す義務があります。記載事項は5つです。
古物営業法 第16条(抜粋)
一 取引の年月日
二 古物の品目及び数量
三 古物の特徴
四 相手方(国家公安委員会規則で定める古物を引き渡した相手方を除く。)の住所、氏名、職業及び年齢
五 前条第一項の規定によりとつた措置の区分
保存期間は最終の記載をした日から3年間(同法第18条第1項)。紙でも電子でも構いませんが、電子の場合は「直ちに書面に表示することができるように」しておく必要があります。
当事務所では、この5項目を満たしたExcelのテンプレートを無料で配布しています(登録不要)。記入例と根拠条文も同じファイルに入れました。
古物台帳のテンプレート(Excel)を無料配布|記入例と根拠条文つき
手書きのほうが続けやすい方には、市販の冊子タイプの古物台帳もあります。購入される場合は、上の5項目を書ける欄があるかをご確認ください。
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③ 本人確認をする手段
古物営業法 第15条第1項(抜粋)
古物商は、古物を買い受け、若しくは交換し、又は売却若しくは交換の委託を受けようとするときは、相手方の真偽を確認するため、次の各号のいずれかに掲げる措置をとらなければならない。
一 相手方の住所、氏名、職業及び年齢を確認すること。
二 相手方からその住所、氏名、職業及び年齢が記載された文書(その者の署名のあるものに限る。)の交付を受けること。
(略)
店頭なら身分証の提示を受けて確認すれば足りますが、対面しない取引では方法が限られます。非対面取引を予定している方は、どの方法をとるかを開業前に決めておいてください。詳しくは本人確認の決まりや確認方法で解説しています。
なお対価の総額が1万円未満の取引は原則として免除されますが、自動二輪車・原付、エアコン室外機と電気温水機器のヒートポンプ、家庭用ゲームソフト、CD/DVD等、電線、金属製グレーチング、書籍の7つは金額に関係なく確認が必要です(施行規則第16条)。中古本やゲームを扱う方は特にご注意ください。
④ ウェブサイトへの氏名等の表示(ネット取引をする場合)
古物営業法 第12条第2項
古物商又は古物市場主は、その事業の規模が著しく小さい場合その他の国家公安委員会規則で定める場合(その者が特定古物商である場合を除く。)を除き、国家公安委員会規則で定めるところにより、その氏名又は名称、許可をした公安委員会の名称及び許可証の番号(次項において「氏名等」という。)を電気通信回線に接続して行う自動公衆送信により公衆の閲覧に供しなければならない。
例外は施行規則第13条の2で、①常時使用する従業者が5人以下 ②自分が管理するウェブサイトを持っていない のいずれかです。ただしインターネットを使って取引する古物商(特定古物商)はこの例外にあたりません。第3項により、氏名等に加えて取り扱う古物に関する事項も表示する必要があります。
また、ネットで取引をするならURLの届出も必要です(同法第5条第1項第6号)。サイトの用意と届出については中古品をネットで売るなら|サイトとネットショップの開き方とURLの届出をご覧ください。
⑤ 管理者の選任
古物営業法 第13条第1項
古物商又は古物市場主は、営業所又は古物市場ごとに、当該営業所又は古物市場に係る業務を適正に実施するための責任者として、管理者一人を選任しなければならない。
これは「もの」ではなく「人」ですが、忘れやすいので入れておきます。個人で1人で営業する場合はご自身が管理者になります。管理者の氏名と住所は許可申請書の記載事項です(同法第5条第1項第4号)ので、通常は申請の段階で決まっています。営業所を増やすときは、その営業所ごとにもう1人必要になる点にご注意ください。
くわしくは古物商の営業所には管理者が必要をご覧ください。
3. 実務であると助かるもの
ここからは法律上の義務ではありません。あれば楽になるものです。予算に応じて選んでください。
| もの | なぜ役に立つか | 費用のめやす |
|---|---|---|
| 複写式の買取伝票 | 相手方に控えを渡せる。台帳への転記も楽になる | 1,000〜3,000円 |
| 身分証コピー用の複合機 | 本人確認の記録を残しやすい。届出書類の控えにも使う | 1万円〜 |
| 保管ケース・棚 | 買い取った品を混ぜないための仕分け。品触れが来たときに探しやすい | 数千円〜 |
| 梱包資材 | ネット販売をするなら必須。まとめ買いが安い | 数千円〜 |
| ゴム印・名刺 | 出張買取のときに相手方へ渡せる。信用につながる | 2,000〜5,000円 |
| 会計ソフト | 確定申告用。古物台帳とは別物なので混同しない | 年1万円前後 |
古物台帳と会計帳簿は別のものです
古物台帳は盗品の流通を防ぐために古物営業法が求めるもの、会計帳簿は税金の計算のために税法が求めるものです。目的が違うので、会計ソフトを入れても古物台帳の義務はなくなりません。逆に、古物台帳をつけていても確定申告の帳簿にはなりません。
複写式の買取伝票は、相手方に控えを渡せるので出張買取のときに重宝します。台帳への転記もれも防げます。
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4. そろえる順番
すべてを一度に買う必要はありません。実務では次の順番で困りません。
- 許可証が届いたらすぐ 標識を手配する(ネット通販なら数日で届きます)
- 最初の取引の前まで 古物台帳を用意する。無料テンプレートを印刷しておけば当日から使えます
- 最初の取引の前まで 本人確認の方法を決める。店頭なら身分証の提示、非対面なら方法を選んでおく
- ネットで売り始める前 サイトのURLを届け出て、氏名等の表示を整える
- 営業が回り始めてから 伝票・什器・梱包資材などを必要に応じて足していく
5. よくある質問
Q. 副業で月に数点しか売らない場合も、標識と台帳は必要ですか。
A. 必要です。取引の量による免除はありません。標識は営業所ごとの掲示義務、台帳は取引の都度の記載義務です。ただし台帳については、1万円未満の取引で本人確認が免除される場合は記載も免除されます(法第16条ただし書)。免除されない7品目にご注意ください。
Q. 自宅が営業所です。標識を玄関に出さないといけませんか。
A. 条文は「公衆の見やすい場所に」としか定めておらず、屋外に出せとは書かれていません。営業所として届け出た部屋の中で、取引の相手方から見える場所に掲示するのが基本の考え方です。判断に迷う場合は所轄警察署の生活安全課にご確認ください。
Q. 全部そろえるといくらかかりますか。
A. 法律で必要なものだけなら、標識が1,000円前後、台帳は無料テンプレートを使えば0円ですので、実質1,000円程度から始められます。実務用品まで含めても、最初は1万円もあれば十分です。開業の費用として大きいのは、むしろ申請手数料19,000円と仕入れの資金です。
Q. 許可を取ったけれど、しばらく営業しない予定です。
A. 許可を受けてから6か月以内に営業を開始しないと、許可を取り消されることがあります(法第6条第1項第3号)。標識と台帳だけは先に用意しておかれることをおすすめします。
6. 関連記事
- 古物商プレート(標識)のサイズ・記載事項と入手方法
- 古物台帳のテンプレート(Excel)を無料配布|記入例と根拠条文つき
- 中古品をネットで売るなら|サイトとネットショップの開き方とURLの届出
- 山口県の古物商許可|窓口・手数料19,000円・審査40日と県内16警察署一覧
参考(一次情報)
- 古物営業法(昭和24年法律第108号)|e-Gov法令検索(第5条、第6条、第12条、第13条、第15条、第16条、第18条、第35条)
- 古物営業法施行規則(平成7年国家公安委員会規則第10号)|e-Gov法令検索(第13条、第13条の2、第16条、第18条)
- 標識の様式|警視庁
※本記事は一般的な解説です。個別の事情により結論が変わることがありますので、最終的なご確認は所轄警察署または当事務所へお願いします。2026年8月時点の法令にもとづいています。
古物商許可・金属くずのご相談は、地域の行政書士へ
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周南行政書士事務所 代表 広戸克義
参考(一次情報)
- 古物営業法(e-Gov法令検索) 第5条第4項/第6条/第7条/第8条
- 地方公共団体の手数料の標準に関する政令(e-Gov法令検索) 別表 二十八(古物営業の許可に関する事務)
- 実際の手数料額は各都道府県の手数料条例によります。申請前に管轄の警察署でご確認ください
※本記事は一般的な解説です。個別の事情により結論が変わることがあります。判断に迷う場合は営業所を管轄する警察署または行政書士にご確認ください。
※2026年8月27日更新







