古物商の開業前に相場観を身につける方法|まず「売る側」を一度やってみる

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古物商で最初につまずくのは、法律ではなく値付けです。許可は書類を整えれば下りますが、いくらで仕入れていくらで売るかは、誰も教えてくれません。

ここを勘で始めると、仕入れた在庫が動かず、保管場所だけが埋まっていきます。実際、開業から数か月で相談に来られる方の悩みは、手続きではなくほとんどが「思ったように売れない」です。

相場観を身につける方法はいくつかありますが、開業前の方に最初にお勧めしているのは、自分の私物を専門店の査定に出してみることです。お金がかからず、プロがどう値を付けるかを一度で体験できます。

この記事でお伝えすること

  • なぜ「売る側」を一度経験すると仕入れが変わるのか
  • 無料査定で見るべき3つのポイント
  • やってはいけない使い方(業者にも自分にも損になります)
  • 査定額はどこまで信じてよいか
腕時計・カメラ・陶器の皿・拡大鏡・メモ帳が机に並ぶ査定風景の水彩イラスト
相場観は、一品ずつ「いくらで売れるか」を見た数だけ育ちます。

買う練習より、売る経験のほうが早い

古物商の利益は「安く仕入れて、適正に売る」ことで生まれます。このうち「安く」の基準は、売値を知らないと決められません。5,000円で仕入れてよいかどうかは、それが8,000円で売れるのか3,000円にしかならないのかで、まったく変わります。

ところが、開業前の方はこの売値のデータを持っていません。フリマアプリの出品価格を眺めるという方法もありますが、あれは「売れた価格」ではなく「売りたい価格」です。売れ残っている出品も同じ画面に並んでいます。

専門店の査定額は、業者が実際に買い取る金額です。つまり「その業者が確実に捌ける」と判断した水準で、下限の目安になります。この数字を一度肌で知っておくと、仕入れのときに迷いが減ります。

無料査定で見るべき3つのこと

① 同じ物でも、業者によって額が違う

これがいちばんの学びです。総合買取店と専門店では、同じ品物でも査定額が変わります。専門店はその分野の販路を持っているため、相場を知ったうえで高く出せることがあります。逆に、専門外の物は総合店のほうが早い場合もあります。

2社に出して額を比べると、この差が実感できます。「どこに売るかで利益が変わる」というのは、そのまま自分が仕入れた在庫をどう捌くかの話につながります。

② 状態の差が、いくらの差になるか

箱の有無、付属品の欠品、小さな傷。査定の明細を見ると、これらがいくら引かれるのかが分かります。この感覚があると、仕入れの現場で「この傷なら、いくらまで下げて買うべきか」を判断できるようになります。

③ 自分が扱うべきジャンルが見えてくる

手持ちの物をいくつか出してみると、思ったより高く付く分野と、ほとんど値が付かない分野がはっきりします。許可申請では取り扱う古物の区分を選びますが、この体験は区分選びの判断材料になります。区分の考え方は 古物商許可の「取り扱う古物の種類・区分」とは? をご覧ください。

ジャンル別・宅配買取の窓口

宅配買取なら、箱に詰めて送るだけで査定額が出ます。送料・査定料が無料のところが多く、金額に納得できなければ返送してもらえます(返送料の扱いは業者により異なるので、申込前に確認してください)。

古物の区分と対応させると、次のようになります。

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扱うジャンルで、一度査定を出してみる

フリマアプリに並ぶのは「売りたい価格」で、成約価格ではありません。専門店の査定額は業者が実際に買う金額なので、下限の目安として使えます。

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※相場を知るための利用です。売る気のない物を大量に送るのは各社に迷惑がかかります。1〜2社・数点で十分です。他人から預かった物や、仕入れた在庫を私物として出すことはできません。

上記はアフィリエイトリンクを含みます。当事務所はこれらの買取業者と資本関係になく、記事内の解説は広告の有無に関わらず同じ内容です。買取価格・サービス内容は変更されることがありますので、詳細は各公式サイトでご確認ください。

やってはいけない使い方

  • 売る気のない物を大量に送らない。査定は業者の人件費で成り立っています。相場を知る目的なら1〜2社、数点で十分です
  • 他人から預かった物を出さない。他人の物を売るのは委託販売にあたり、古物商許可が必要な行為です(代行と許可の関係)
  • 仕入れた在庫を「私物」として出さない。許可を取る前に仕入れて売れば無許可営業です(法31条1号/三年以下の拘禁刑または百万円以下の罰金)

ここでお勧めしているのは、あくまで自分が長く持っていた私物を、売る意思をもって出してみることです。

査定額はどこまで信じてよいか

査定額は市場価格そのものではなく、業者が確実に買う下限の目安です
査定額は市場価格そのものではなく、業者が確実に買う下限の目安です

ひとつ注意があります。買取業者の査定額は「その業者が買う値段」であって、市場価格そのものではありません。業者は仕入れた後に検品・保管・販売の手間をかけ、利益を乗せて売ります。したがって、査定額は最終的な売値より低くなります。

ここで大事なのは、その差こそが古物商の利益の源泉だということです。査定額を見て「安い」と感じたなら、それは「自分が同じ物を仕入れるときに払える上限」を知ったということでもあります。

より正確な相場を知りたい場合は、次の3つを重ねると精度が上がります。

調べ方分かること限界
専門店の無料査定業者が確実に買う下限業者の利益分は引かれている
フリマアプリの売却済み価格個人間で実際に売れた額手数料・送料が引かれる。出品中の価格は参考外
古物市場(許可取得後)業者間の実勢価格参加に古物商許可が必要

相場が分かったら、次は許可

扱う分野の見当がついたら、許可の手続きに進みます。仕入れて売る前に許可を受けることが必要で、順番を逆にすると無許可営業になります。

第三十一条 次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金に処する。

一 第三条の規定に違反して許可を受けないで第二条第二項第一号又は第二号に掲げる営業を営んだ者

古物営業法 第31条第1号(e-Gov 法令検索より引用)

自分の私物を売るだけなら許可は不要です。許可が必要になるのは「売るために仕入れる」ときからです。この線引きは 古物商許可が必要なのはどんな場合? で詳しく解説しています。

準備するものは 古物商の開業に必要なもの一覧 にまとめました。標識・台帳・本人確認の3つは、営業を始めた日から必要になります。

よくあるご質問

Q. 査定に出すだけなら、古物商許可は要りませんか。

A. 要りません。自分の物を売る行為は古物営業にあたりません(法2条2項1号は「自己が売却した物品を当該売却の相手方から買い受けることのみを行うもの以外」と定めており、売るだけの人は対象外です)。ただし、売るために買い集めた物は「自分の物」ではなく在庫です。

Q. 何点くらい出すのが適当ですか。

A. 相場を知る目的なら数点で十分です。同じ物を2社に出して額を比べるほうが、10点を1社に出すより学びが大きいと思います。

Q. 査定額に納得できなければ断れますか。

A. 断れます。宅配買取では返送してもらえるのが一般的です。ただし返送料の負担は業者によって異なりますので、申込前に条件をご確認ください。

Q. 開業後も買取業者を使う場面はありますか。

A. あります。まとめ買いで専門外の物が混ざったとき、自分の販路で捌くより専門店に出したほうが早いことがあります。その場合の売却も、相手方が業者であれ古物台帳の記載対象です(法16条)。

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参考(一次情報)

※本記事は一般的な解説です。買取業者のサービス内容・査定条件は各社の定めによります。個別の事情による許可の要否については、管轄警察署または当事務所にご確認ください。

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周南市・下松市・光市を中心に、防府市・柳井市・岩国市など山口県東部に対応。
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周南行政書士事務所 代表 広戸克義

参考(一次情報)

※本記事は一般的な解説です。個別の事情により結論が変わることがあります。判断に迷う場合は営業所を管轄する警察署または行政書士にご確認ください。

※2026年8月27日更新