買った物が盗品だったら?|古物商だけが負う「1年間は無償で返す」ルール

この記事には広告が含まれます。広告表記について

きちんと本人確認をして、帳簿もつけて、正規の値段で買った。それでも、あとから「その品は盗まれた物です」と言われることがあります。

このとき、古物商は買った代金を返してもらえないまま、品物を返すことになる場合があります。しかも民法の一般原則より不利です。

知らないまま在庫を持ち続けるより、期限の数字を先に知っておくほうが、心の持ちようも仕入れの慎重さも変わります。この記事では、民法と古物営業法の関係を条文で確認します。

先に結論

  • 民法の原則では、公の市場や同種の商人から善意で買った人は、代価を弁償してもらわないと返さなくてよい(民法194条)
  • ところが古物商には特則があり、盗難・遺失から1年間は、無償で回復請求ができます(法20条)
  • つまりその1年間は、代金が戻らないまま返すことになり得ます
  • 1年を過ぎれば、民法194条に戻ると解されています
古い鍵と木箱・封筒・拡大鏡が置かれた机の水彩イラスト
相手をたどれる記録が残っているかどうかで、その後がまったく変わります。

まず民法の原則

動産を善意・無過失で買えば所有権を取得する、というのが即時取得です。

(即時取得)第百九十二条 取引行為によって、平穏に、かつ、公然と動産の占有を始めた者は、善意であり、かつ、過失がないときは、即時にその動産について行使する権利を取得する。

ただし盗品・遺失物は別扱いです。

(盗品又は遺失物の回復)第百九十三条 前条の場合において、占有物が盗品又は遺失物であるときは、被害者又は遺失者は、盗難又は遺失の時から二年間、占有者に対してその物の回復を請求することができる。

第百九十四条 占有者が、盗品又は遺失物を、競売若しくは公の市場において、又はその物と同種の物を販売する商人から、善意で買い受けたときは、被害者又は遺失者は、占有者が支払った代価を弁償しなければ、その物を回復することができない。

194条は、まっとうなお店で買った人を守る規定です。返してほしいなら払った分は返しなさい、ということです。

古物商には、これを外す特則がある

(盗品及び遺失物の回復)第二十条 古物商が買い受け、又は交換した古物(指図証券、記名式所持人払証券……及び無記名証券であるものを除く。)のうちに盗品又は遺失物があつた場合においては、その古物商が当該盗品又は遺失物を公の市場において又は同種の物を取り扱う営業者から善意で譲り受けた場合においても、被害者又は遺失主は、古物商に対し、これを無償で回復することを求めることができる。ただし、盗難又は遺失の時から一年を経過した後においては、この限りでない。

読みどころは「善意で譲り受けた場合においても」「無償で」の2つです。民法194条なら代価弁償を受けられる場面でも、古物商は無償で返すことになります。

時期(盗難・遺失から)一般の買主古物商
1年以内代価弁償を受けてから返す(民法194条)無償で返す(法20条本文)
1年経過〜2年以内同上民法194条に戻ると解されています
2年経過後回復請求はできなくなります(民法193条)

なぜ古物商だけ厳しいのか。古物商は許可を受けて盗品の流通を防ぐ役割を担っており、盗品を見抜くことが職業上期待されているから、と説明されます。許可制度そのものの趣旨と裏表の関係にあります。

現実にどうなるか

  • すでに転売してしまっていた場合、買った方から回収して返す、という展開になり得ます
  • 売り主に代金の返還を求めることはできますが、連絡がつくとは限りません
  • だからこそ、法15条1項の本人確認と帳簿が効いてきます。相手をたどれるかどうかで結果が変わります

備えとしてできること

盗品をつかまないための決定打はありませんが、条文が求めていることを丁寧にやることが、そのまま備えになります。

  • 本人確認を省かない。1万円未満でも確認が要る7品目があります。その品、仕入れて大丈夫?にまとめました
  • 帳簿を後回しにしない。相手方をたどれる記録が残ります。古物台帳の決まり、書き方
  • 疑わしいときは申告する。法15条3項の義務です
  • 品触れを保存し、照合する。法19条2項・3項
  • 仕入れ時の写真を残す。状態や刻印の記録は、あとで何かあったときに役立ちます

また、相場を大きく下回る品には理由があります。安すぎる品を見抜けるのは、相場を知っている人だけです。扱うジャンルの査定額を一度見ておくと、警戒すべき安さの線が引けるようになります。

広告

扱うジャンルの相場を知っておく

相場を大きく下回る品には理由があります。安すぎる品を見抜けるのは、相場を知っている人だけです。

送料・手数料・査定料・梱包材がすべて無料【カメラ買取アローズ】

※相場を知るための利用です。売る気のない物を大量に送るのは各社に迷惑がかかります。1〜2社・数点で十分です。他人から預かった物や、仕入れた在庫を私物として出すことはできません。

※上記は広告です。当事務所と各社に資本関係はありません。解説の内容は広告の有無に左右されません。

参考(一次情報)

※1年経過後の扱いについては、法20条ただし書により民法194条に戻ると解されていますが、具体的な事案では争いになることがあります。実際に回復請求を受けた場合は、早めに弁護士にご相談ください。本記事は一般的な解説です。

古物商許可・金属くずのご相談は、地域の行政書士へ

周南市・下松市・光市を中心に、防府市・柳井市・岩国市など山口県東部に対応。
「許可が要るか分からない」という段階からご相談いただけます。

LINEで相談する電話 0833-48-5781フォームで相談

周南行政書士事務所 代表 広戸克義

参考(一次情報)

※本記事は一般的な解説です。個別の事情により結論が変わることがあります。判断に迷う場合は営業所を管轄する警察署または行政書士にご確認ください。

※2026年8月27日更新